暗号資産(仮想通貨)を取り扱ったビジネスも増え、最近では暗号資産を商材としたネットワークビジネスが流行していました。
そして、最近大きなニュースとなり注目を集めているのが、「ビットマスター」です。
今回、仮想通貨のMLMとして有名な ビットマスターですが、
2019年11月22日に東京地方裁判所に破産の申し立てを行いました。
債権者は会員を中心として2万2369人で、負債総額は約109億円まで登ったようです。このニュースを受け、暗号資産のMLMに対する世間一般の不信感も増えたことでしょう。
しかし、なぜ暗号資産を扱うネットワークビジネスでこのような結果となってしまったのでしょうか。
多くのビジネス参加者は、空論や夢をもって活動していただけで、大切な知人や友人を巻き込んでしまっていた「ビジョン系MLM」に潜む現実です。
今回、破産したビットマスターについて調査しており、私達が今後のネットワークビジネスの活動をする上で活かすべきことをお伝えしようと思います。
目次
ビットマスターとは?
会社概要
ビットマスターは、鹿児島県を本社とした国内企業の会社です。
会社名 | 株式会社 ビットマスター |
所在地 | 〒890-0042 鹿児島県鹿児島市薬師1丁目18-13 M2ビル |
連絡先 | 099-813-1160 |
Fax | 099-813-1630 |
資本金 | 20,000千円 |
代表者 | 西 貴義 |
事業内容 | 仮想通貨専用ATMの販売 独自決済システムの販売 BTCマスターカードの開発 BMEXなる仮想通貨取引所の運営 |
2013年から代理店募集を展開(MLM)し、仮想通貨専用ATMの設置企業として2017年7月に会社を設立しております。
取り扱い商材
ビットマスターでの利用者側については投資ではなく、ビジネスパートナーとしてビットマスターの商品を紹介し、販売できることを謳っており、ネットワークビジネスの連鎖販売取引を考えた仕組みで運営しておりました。
つまり、ビットマスターではビットコインに関わる売買を目的としておらず、あくまでビットマスターの紹介によって組織を構築していく進め方をとっておりました。
実際、ビジネスパートナーとして登録するために暗号資産を購入していたと思われますが、そのビットコインは何に使うことを想定していたのかは疑問が残ります。
ビジネスの特徴(その他MLMとの違い)
ビットマスターのビジネスは、インフラを整備することが大切で、通貨を販売していたわけではなく、ビジネスパートナーを募集することがメインとなっておりました。ビジネスに参加するには登録料を払い、上記事業展開の権利が得られます。
そして、ビジネスパートナーを紹介することでタイトルに応じたボーナスや権利収入が得られるといった仕組みになっています。
例えば、ネットワークビジネスの会社の製品を会員さんが愛用し、その製品の効能が良く「ぜひ他の人にも伝えたい!!」といった気持ちが連鎖することで組織が拡大していく仕組みをとっているのが、本来のネットワークビジネスのあるべき姿ではないでしょうか。
それから考えると、ビットマスターの進め方にはネットワークビジネスとは言い難い進め方だったのではないでしょうか。
その上、これまでに仮想通貨取引所(BMEX)が法律違反となり業務停止命令を受けたり、ビットマスターのグループ企業が事業撤退するなど、一年ほどしか運営できていない現実は知らないといけませんね。
ネットワークビジネスとしての活動
参加費用
ビットマスターに登録するには、4つのコースがあり、登録料も異なっております。
①ユーザー(登録料:10,800円)
②ビジネスパートナー(登録料:77,760円)
③スペシャルパートナー(登録料:362,000円)
④スペシャルシルバー(登録料:992,000円)
※ユーザーという会員がありますが、正式なコースではなかったようです。そのため、最低でもビジネスパートナーとして約8万円の費用をかけてビジネススタートする必要があります。
しかし、④のスペシャルパートナーの費用には驚きですね。ただでさえ初期費用を取ること自体が考えられませんが、④のスペシャルパートナーは登録するだけで100万円必要なのです。お金に裕福のある人に向けたプランとしか思えません。登録した人は実際何人いたのでしょうか。
しかも、登録費に加え、月会費として「12,960円」が必要となります。
報酬プラン
ビットマスターでは、少ない紹介人数で良いということをアピールした「バイナリー」を採用しております。
バイナリーは2本枝でしか組織を構築できないので、言い換えると「2人で良い」ということになります。
こう言ったバイナリーでの報酬プランは、ネットワークビジネスに詳しくない人に対して、「2人だけダウンさんを作れば良いよ」とか「今ならダウンさんをプレゼントします(スピルオーバー)」といった甘い誘惑で誘ってきますが、2人故難しい点もあります。
2本枝で良いと言っても、組織の小さいグループが基準で報酬が支払われるので、いくら片枝を伸ばしても報酬は増えません。
また、ビットマスターには「ユニレベル」を採用しております。ユニレベルの報酬プランは単純明快で、自分の直紹介を1段目として段数に応じた還元率に応じて報酬が支払われる仕組みをとっております。
しかし、その還元率がビットマスターですと、
- 1段目:10%
- 2段目:5%
- 3段目:5%
- 4段目:5%
となっており、4段まで作っても25%です。4段目までつくるモチベーションが保てる還元率なのか?そして、4段目まで作れる方がどれほどいるのかは疑問が残ります。
以下の記事にてメリットデメリットを紹介しておりますので、よければ覗いてみてください。
ボーナスについて
ビットマスターでのボーナスは以下となります。
・ファストボーナス→直接紹介につき、10,000円
・アドバイザーボーナス→ビジネス内容を正しく説明し、不備ないことが確認できたらファストボーナスに加え3,000円/人。
・ベーシックボーナス→バイナリーによる報酬プランに基づいて支払われます。
・リーダーマッチングボーナス→ユニレベルによる報酬プランに基づいて支払われます。
獲得可能なタイトル一覧
- ビジネスメンバー→初期状態
以降が条件付きのタイトルです。
- シルバーエージェント
- ゴールドエージェント
- ルビー
- プラチナ
- ダイヤモンド
- ダイヤモンドマネージャー
これらのタイトルは、シルバーエージェントになるためにも小さいライン売り上げ6,000P必要です。
ポイントは紹介者が登録したコースに応じて変動しています。
・ビジネスパートナー→600P
・スペシャルパートナー→3,000P
・スペシャルシルバー→6,000P
これはどういうことか分かりますでしょうか。
スペシャルシルバーの紹介を1人でも出せば昇格ですが、まず登録する人はいないでしょう・・・そこでビジネスパートナーで登録するとした場合、最低でも10人が必要なのです。
この紹介者10人という数字は容易でしょうか。それは約8万円の初期登録費用をかけて参加してくれる人が10人いるかということですね。
10人登録してもらうためには一体何人に声かけたりアポを取る必要がありますでしょうか。私には難しいと感じます。
なぜ破産したのか
事実と異なる活動
ビットマスターでは会員さんに対し、「暗号資産のATMオーナーになれる」と言った話をしていたようですが、実際のところ、全国へのATM設置が進んでいなかったという話を伺っております。
仮想通貨ATMの日本設置台数を皆さんご存知でしょうか。
当時は2台しか設置されておらず、2台とも福岡県です。現在は2台とも停止しており、日本には仮想通貨ATMは一台もありません。
ATM設置活動としてほとんど進んでいなかったことがわかります。
上記状況からもわかります通り、ビットコインはATMもなければどうすれば換金できるのかを知らないで始めちゃう人もいるそうです。
変な話、換金できない仮想通貨なんて「ゴミ」みたいなものですよね・・・
ビットコインATMは法律規制あり?
そもそもビットコインATMは法律によって規制されています。
現在日本で利用できるビットコインATMがない理由の一つにもなります。
2017年4月1日に施行された「改正賃金決済法」というものがあり、仮想通貨を取り扱う業者は仮想通貨交換業者としての登録が必要となっております。現在日本でこの登録がされている会社は、「ビットポイントジャパン」しかありません。
ビットマスターのホームページでその登録がされていたのかどうかを把握できないため、おそらく登録されていなかったのでは?と推察されます。
まとめ
これからのMLM選択で大切なこと
ビジョン系MLMの夢物語状態
冒頭にもお話ししました通り、ビットマスターのような暗号資産のMLMでは、ビジョン系と呼ばれるMLMとなっています。
では、ビジョン系MLMとはいったい何なのか?
名前の通りビジョン(夢)を目標に活動するMLMとなります。
つまり、
まだ何もない状態で実現していない未来が叶ったならどういったことが想定されるか
ということについて夢を叶えるために会員を募って活動する方法となっており、MLMの本質から外れてしまった考え方で活動しています。
形のないものに登録料を払い、夢や仮想の話をして友人を巻き込むような活動は信頼関係にもヒビが入る可能性もあります。
健全堅実なビジネスを
今回のビットマスターのようないろんな面から活動に対して怪しい部分が多かったようですが、会員さんはどう思っていたのでしょうか。
中には、「ビジネス的に問題あるけど紹介すればお金を稼げるんだ」ということに目を眩ませ、被害者となり得る人を増やす勧誘をしていた人もいるのではないでしょうか。
解約者の人には、預けていたビットコインを回収することができなくて困っていた人が何人もいたようです。
人に広めていくようなネットワークビジネスの活動では、健全堅実でなければ被害者が生まれてしまいます。自分の活動に誇りを持てるようなビジネスをしましょう。
ネットワークビジネスへの悪評に歯止めを
ビットマスターのような形のないものを商材として扱い、高額な初期費用や月会費を取るような方法は、「ネズミ講」と思わざるを得ないところがあります。
ネットワークビジネスは、多くの世界で認められたビジネスモデルです。日本人のちょっとした道に外れるようなビジネスモデル、勧誘方法によってはネットワークビジネスに対し、悪いイメージをつけられてしまいます。
関係のない人まで
「ネットワークビジネスは悪い」
というイメージをつけてしまう日本の風評をどうにか変えたいものですね。
やるなら健全堅実でノーリスク(登録費用なし)でビジネスしましょう。